さて、コンサルタントO氏の指導に従い、実務面からも心理面からも開業準備を進めていくわけですが、 そうはいっても3月、4月、5月はまだまだ余裕がありました。
6月ごろから、徐々に慌ただしくなってきました。医療理念はしっかり決めていましたが、その他の実務的なこと、 医療機器の選定、HPの準備、クリニック外装のデザインなど、少しずつ決めていかなればならないことが見えてきました。
7月に入ってからは、さらに慌ただしさは増してきました。外来診療の合間を縫っての打ち合わせは結構ハードでした。 医療機器の値段交渉なども、最初はO氏からの提言を頂きましたが、最後は私とメーカーとの直接交渉となりました。 ここは粘りに粘って好条件を出してもらいました。経営者としては合格点でしょうか?
そして肝心の標榜科目の決定です。
岸和田徳洲会病院の研修医として内科、外科、小児科、産婦人科の主要4科をローテートしましたので、 大学医局出身の内科医とはちがう経験をさせていただきました。小児科は超専門領域でなければ、一般的な疾患には対処ができますし、 実際今現在も某夜間急病診療センターで小児科の急病診療も担当しています。内科、循環器内科の標榜に加え。 「小児科」の標榜は迷いがありませんでした。そしてなによりも、私は子どもが好きです。 病気の子供には慈愛の念を、うるさく走り回っている子供にさえもほほえましさを感じます。 彼ら彼女らの清らかな目を見ていると、こちらまでキレイな心になれます。
漢方内科を掲げるのには、強い信念がありました。まだまだ、漢方治療の一般の方への認識は十分とは言えません。 「胡散臭い、本当に効くのか?」「苦くて飲めない」「長期間飲まないと効かない」などと言われることもあります。
医師の方も漢方への評価は賛否両論です。以前に比較すると、漢方を使用する医師は増えていますが、 「風邪には葛根湯。更年期障害には加味逍遥散。」的な、シンプルな使い方をする医師が大半で、 突き詰めた勉強をしている方はまだまだ少ないように思えます。私はかなり踏み込んだところまで漢方治療の知識を深めてきました。 その結果、西洋医学のスキマを埋めるに十分どころか、むしろ漢方治療の方が早く確実に効く疾患もあることに気づきました。 患者さんにもそのような素晴らしい漢方医学の世界を身近に感じてもらおうと思い、標榜科にあげました。 漢方治療が決して眉唾ものではなく、長い歴史の中で洗練されてきた治療方であることを、地域の方々に知ってもらいたいのです。

医療法人癒美会