あっという間に、8月ですね。
開業1年目の夏は、患者さんも減って相当ヒマだろうと思っていましたが、夏は夏で、アデノウイルスやヘルパンギーナに感染したお子さんやいわゆる「のどかぜ」で体調を崩した成人患者さんも大勢いらっしゃいます。
熱中症の患者さんが意外に少ないのは、みなさん対策をしっかりとられていらっしゃるからでしょうか?
むしろ、「エアコンで冷えて、体調が悪い」とおっしゃる方が多い印象です。

さて、土曜の午後のワクチン外来を終えて私が向かったのは、天王寺区の「たかつガーデン」。
3か月に一回行われる「処方から学ぶ漢方勉強会」に参加するためです。

漢方のレクチャーでも上級者向けのかなりハイレベルな内容です。
講師は東大阪で小阪医院を開業されている、曺 桂植(ちょう けいしゅく)先生です。

漢方治療は数千年の歴史の中で積み上げられた独特の理論の中で展開されます。西洋医学の考え方にこだわっていては、なかなか腑に落ちることができない理論体系です。
それをしっかり理解することにより、治療の質が高くなり、応用範囲も広がります。
その辺りを、うまく解説してくださるのが曺先生です。

今回は「表裏寒熱」の解説でした。
簡単に言うと、この理論は「八綱弁証」という理論体系の中で用いられる概念で、病気の状態を「陰陽(いんよう)」「虚実(きょじつ)「表裏(ひょうり)」「寒熱(かんねつ)」のそれぞれ相反する計八つの観点から説明しようとするものです。

この概念により、いま患者さんのどこに問題があり、どの漢方を使うのかを考えていくことができるのです。

今回は「表(ひょう)」に現れる疾患、わかりやすく言えば皮膚病についての汎用処方についての解説がありました。

例を挙げますと、

★主婦湿疹(進行性指掌角化症)
温経湯+三物黄ゴン湯、温経湯+当帰四逆湯

★掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
越婢加朮湯+十味敗毒湯、温清飲(もしくは三物黄ゴン湯)+桂枝茯苓丸、当帰飲子(もしくは麦門冬湯)+滋陰降火湯、桂枝茯苓丸加ヨクイニン

★尋常性座瘡(にきび)・・・・荊芥連翹湯+十味敗毒湯、荊芥連翹湯+清上防風湯、荊芥連翹湯+柴胡桂枝湯(もしくは大柴胡湯)

皮膚の病気なのに、「麦門冬湯」や「滋陰降火湯」などが使われているのが興味深いところですね。
それぞれ「乾」を潤す力をもった漢方薬ですから、乾燥して落屑が落ちるような皮膚疾患に応用が利くのです。
教えていただくと「なるほど、そうか」と合点がいきますね。まさに目からウロコ、です。

そして、2つの漢方薬の合法がよく使われているのがわかります。
私自身はできるだけ単剤での治療を心がけていましたが、限界を感じることも多々ありました。
上記を参考にして、皮膚疾患難治例にも2剤合法を積極的に使ってみようと思いました。
何事も、先達はあらまほしきことかな、ですね。

近隣の皮膚科クリニックさんが分院を閉められたことから、最近は当院を受診される皮膚疾患の患者さんが増えてきました。
アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、掌蹠膿疱症、難治性にきび、日光過敏症、そして原因不明の皮膚炎の方まで、さまざまな病態の方がいらっしゃいます。
当院は「街のコンビニクリニック」ですから、皮膚科疾患でも私の知識と経験の範囲であるならば、一切お断りしません。
まずは、診察させていただいています。
アレルギー性皮膚疾患などは、通常のステロイド治療に1~2種ほど漢方薬を加えれば、驚くほどの効果が見られることがあります。一度試していただきたいと思います。

ただし、漢方診療つづけていると、どうしても壁にぶちあたります。
どんな治療も「100%の有効率」などありえないのは医療界の常識ですから、「漢方ですべて治りますよ!」などと、豪語できません。(以前、ある高名な先生が「打率6割をめざす漢方治療」と銘打って講演をされていたぐらいです。)

大事なのは、「手段」ではなく、「結果」です。
患者様の期待に応えてなんぼ、ですから、手段は西洋医学でも、東洋医学でも、民間療法でも、なんでもいいのです。
手持ちの切れるカードは多ければ、多いほど良いと私は考えています。

私が美容皮膚科&アンチエイジング外来を立ち上げようと思ったのも、患者さんの強いニーズを感じたからです。
皮膚のトラブルや体の不調について、難病というわけではないのだけどもどうにかならないだろうか?との問いに、できるだけ応えたいのです。
そのためには、保険診療の枠を越えて、良いお薬、良い化粧品、良い治療機器を提案する必要があるのです。

そして、患者様に「信頼」と「安心」を感じていただくため、日々診療のクオリティを上げるために、勉強、勉強、また勉強です。
あと1週間で47歳を迎える私の脳細胞ですが、まだまだ活性化させて、レベルアップができそうです。

「現状に満足しない」・・・これはアンチエイジングの基本姿勢です!

                   

 



 

医療法人癒美会