ここ龍華町周辺では、インフルエンザもやや下火になりました。ちょろっとインフルエンザB型が流行っています。

さて、今回の話題はこの4月から改定される「診療報酬」についてです。一般の方には馴染みのない言葉ですが、われわれ医療従事者、ことに経営者にとってはかなり大切な事項です。

これはいってみれば、医療の「メニュー表」で、保険診療における医療行為の値段を決めているものです。
今回の改訂では、消費税8%への変更に伴い初診料などがアップとなりました。
アップといっても、われわれが仕入れる医療材料なども3%アップになるので、利益が増えるわけではありません。

それよりも衝撃的だったのは、「在宅診療」に関わる部分です。
一般の方のイメージだと「在宅診療」は、医師が一件一件患者さんのご自宅に伺って診療するスタイルを想像されると思います。
確かにそのスタイルが多くを占めているのですが、近年はそれだけでなく、マンションなどの集合住宅に訪問するスタイルが効率の面からも好まれるようになりました。

「サービス付き高齢者住宅」いわゆる「サ高住」への訪問診療です。

診療を行う医療機関側にすれば、一件一件回るよりも、同じ建物内を回診するほうが、多少一人あたりの診療報酬が低くても一日の売上が大きくなります。
これを目論んで、集合住宅への在宅訪問診療をメインに開業されたドクターも増えてきていました。

具体的には、月2回訪問診療をおこなったとすると・・・

一般の居宅への訪問診療・・・・月5万8600円/件
集合住宅への訪問診療・・・・月4万6000円/件

・・・が、基本的な料金です。

集合住宅のほうが低料金ですが、移動時間を考えると一日に診療できる人数に大きな違いがあります。
一般居宅10人にかかる時間で、集合住宅なら40人は診察できます。

これまで集合住宅の訪問診療中心で経営してきたクリニックは、かなりの年収を上げておりました。
言い方は悪いかもしれませんが、まさに「金の成る木」がそこにあったのです。

しかし、今度の改正では「適正化」が図られることになりました。

今度の報酬体系では、な、なんと、集合住宅への訪問診療は「月1万2060円/件」への大幅減額です!

4月からは同じ診療内容であっても、診療報酬は4分の1になります。

これまで年間1億円の売上げだったのが、ことし4月から2500万円と強烈な減額となります。

普通の会社なら、潰れますね。

みぞぐちクリニックは集合住宅への訪問診療は行っていませんので、全く関係がありませんが・・・

とはいえ、厚生労働省の容赦のない強攻策には驚きます。

この減額が、「集合住宅からの訪問診療撤退」の流れにつながり、日本各地に「医療難民」が生まれないことを切に願います。

医療法人癒美会