心の師、下田憲先生の言葉
今日はすがすがしい日曜日です。
久しぶりに、家でゆっくりしています。
目の前には片づけなければならない課題がいっぱいですが、しばし心の休息を。。。
今日の写真は、私が尊敬する医師、下田憲(しもだけん)先生のお言葉です。
実を言うと、当院HPのトップに飾られている「悪い薬は用いません・・・」の言葉も、この下田憲先生のお言葉なんです。(勝手に拝借しております。下田先生、申し訳ございません)
現在も北海道の南富良野町でご開業されている先生が実際にご自身で書かれたお言葉を集めた一冊の本にされております。
どれもこれもが、私のこころに刺さる言葉ばかりで、読むたびに目からぽろぽろ涙がこぼれます。
ある人が読めば、「何を言ってるんだ、現実の世界はそんな甘いもんじゃない」と思うかもしれません。
人にはそれぞれの価値観がありますから、それは仕方のないことです。
でも、私は先生の言葉が好きです。心の琴線に触れます。
現実の世界がそうではないからこそ、そう思うのかもしれません。
今日は、この言葉が心に響きました。
私は、この言葉が表す意味をじっくり考えてみました。
これは、努力しない、努力できない人を慰める言葉ではありません。
組織には、いろいろな人間が集まります。
その中には、仕事のできる人もいれば、完璧にこなせない人もいます。
自分では頑張っているつもりでもミスをしてしまう人がいます。
なかなか仕事が覚えられず、周りに負担をかけてしまう人もいます。
できる人から見れば、その人は「仕事のできない使えない人」です。
「仕事」「効率」という物差しで測れば、ひじょうに寸足らずな人です。
そして、できる人から見れば、その人は「一緒に働いても面白くない人」になります。
そんな人に向けて、仕事のできる人が「私がこれだけやってるんだから、あんたも同じぐらいやってもらわんと困るわ!」というのも、よくわかります。
そして組織も、同じように「仕事の出来」「効率性」「確実性」の高い人を評価します。
当たり前、と言えば当たり前。
それ以外で、「仕事」という範疇の中において、他にどんな評価項目があるの?と言われると、言葉に詰まります。
でも、本当にそれがすべてなのでしょうか?
それだけでいいのでしょうか?
人間には多様性があります。
能力にも差があります。
同じ能力の人間が集まれば、これほど楽で効率的なことはありませんが、現実にはそうはいきません。
一つの組織の中では、能力の差、キャリアの差がある人間で構成されることがほとんどです。
性格も、考え方も違うことも多々あります。
それを、一つの価値観で一方的な評価をしてしまうと、そこには無味乾燥な能力主義だけが残ります。
もちろん、そうでないと企業として発展していかない場合がほとんどかもしれません。
しかし、我々のような小さなクリニックが、企業のような能力主義だけで人材を評価することは、どうでしょうか?
きれいごとかもしれませんが、私はそう思いたくないし、やりたくありません。
野球、ラグビーとマススポーツをやってきたせいなのか、完全能力主義には諸手をあげて賛成はできません。
9人が、15人がみんなスーパースターであることは、アマチュアスポーツではあり得ません。
それはプロの中でもさらにトップクラスの中での話です。
一般社会の組織では、実力、性格の差があれど、お互いが補い合って一つの目標達成に向かわなくてはなりません。
それぞれが、それぞれの実力、長所短所を理解したうえで、仕事を進めていかなければ強くなりません。
少なくとも、私のクリニックではそのようであって欲しいと思います。
能力のある人は、能力と経験に劣る人を責めるのではなく、「よし、一緒に頑張ろう。足りないところはサポートするから、一生懸命に頑張れ!」をエールを送ってほしいと思っています。
そして、能力のある人は、自分自身をもう一度見つめなおして欲しいとも思います。
本当に自分は100点満点なのですか?
どんなに優秀な人でも、誰かに助けられながら生きていることに、本当に気づいていますか?
みんな「お互い様」なんです。
私のクリニックは、そんな人間としての生き方に共感する人たちの集まりであってほしい、と心から願っています。
みぞぐちクリニックは、癒しのクリニックです。
見せかけだけの美辞麗句を並べるのは本当のサービスではありません。
総合病院のような、お堅いマニュアル対応もやるべきではありません。
近所の小売店のおっちゃんが、融通利かして、困っている人を助ける。
無理難題以外は、できることは何とかする。
そんなクリニックを目指したいと心から思います。
その目標が達成されたとき、「本当の成功」と言えるのだと思います。
なるべき姿を、強く強く念じます。
明日もあさっても、強く強く念じます。
「人はなりたいように、なる」
明日も、みぞぐちクリニックに訪れる患者様に癒しが届けらるように。
「一診入魂」