「漢方」は中国伝来の医学というイメージがあると思いますが、実は長い歴史の中で日本人向けにアレンジされたもので、「日本漢方」と呼ぶのが正しいようです。
現代を生きる私たちにとっても非常に身近な存在です。養命酒、大正漢方胃腸薬、太田胃散などは代表的なものですし、ナイシトール、命の母なども漢方の生薬が含まれています。漢方の専門薬局も目にすることも珍しくありません。ですが、何をどのような時に飲めば最大の効果がでるのかを理解するには相応の知識が必要です。
例えば、「風邪に葛根湯」というのは、一般によく知れ渡っている治療法ですが、実は風邪症状全般に効くのではありません。患者さまそれぞれの「証」を見極め、さらには発症からの時間経過を考慮して薬剤を選ばなければ、全く逆効果になることもあります。
漢方専門メーカーのラインアップにある140種弱の漢方エキス薬は、長い歴史のなかで生き残った精鋭たちです。当院で扱う漢方薬は、漢方専門薬局の販売する商品とは違い、すべて保険適応になっているため、比較的安価な値段で飲んでいただけるのも良いところです。ただし患者さまそれぞれにあったものを選ばなければ、全く効果がありません。そしてそれを判断できるのは、やはり知識と経験とセンスのある医師なのです。
また当院では、「漢方一本槍」の治療は行わず、西洋医学の隙間を埋める役目とも考えております。西洋医学で治るものは、西洋薬で治し、漢方医学でしか治せないものは、漢方薬で治すスタンスです。患者さまが治ってくれるのなら、どんな治療でも良いのです。
「漢方薬は、長く飲まないと効かない。」「あまり効果がないことが多い」とのご意見を聞くこともありますが、実は即効性のある漢方も数多くありますし、有効率は7~8割と一般の西洋薬よりも高い数字なのです。当院ではいままでに漢方薬が身近でなかった患者さまにも積極的にお勧めして、院内での漢方薬試飲も体験していただけます。自分自身にぴったりあった生薬で「オーダーメイド治療」を見つけ出すのも漢方ならではの醍醐味です。