循環器内科

循環器内科って?

循環器内科とは、心臓、血管に関する病気を扱うものです。
狭心症、不整脈、難治性高血圧静脈疾患などが対象です。
とはいっても、一般の方がご自身で「自分の病気は循環器疾患だ」と判断できることは少ないと思いますので、参考までに症状から考えられる代表的な循環器疾患を挙げておきます。

1. 動悸・脈の飛び

動悸

動悸や脈の飛びにはさまざまな原因がありますが、まず不整脈の存在がないかを考えます。
病名として代表的なものは、次の通りです。

  • 発作性心房細動(ほっさせいしんぼうさいどう)⇒長嶋茂雄さんはこの病気です
  • 心室性期外収縮(しんしつせいきがいしゅうしゅく)
  • 発作性上室頻拍(ほっさせいじょうしつひんぱく)
  • 心房細動(しんぼうさいどう)
  • 心室頻拍(しんしつひんぱく)

ただし、診察室の中ではまったく無症状であることが多く、心電図をとってみても正常である場合がほとんどです。その場合、「24時間ホルター心電図」が役に立つ検査です。

ホルター心電図検査は、通常、検査の後に外部機関に解析を依頼します。そのため、結果報告までに最短で7日間、長いところで2週間かかります。
しかし、当クリニックでは専用解析機器を導入し、院長自身が解析をおこなっていますので、翌日には検査結果がわかります。

2. 胸痛・胸部圧迫感・息切れ

喫煙でリスクが高まる
喫煙でリスクが高まる

以前はなかったのに、「階段を登ると胸痛が起こる」「胸が圧迫されて途中で休みたくなる」「息切れもひどい」などの症状があれば、狭心症を疑います。典型的な症状の場合、お話を聞くだけでほぼ診断は可能です。

動脈硬化によって心臓の血管の一部が細くなり、心臓の筋肉への血流が悪くなって症状が引き起こされます。
ほとんどが運動時に起こることが多いので、「労作性狭心症(ろうさせいきょうしんしょう)」と呼ばれます。動脈硬化を引き起こす「高血圧」「糖尿病」「高コレステロール血症」「喫煙」「高尿酸血症」などの危険因子が多いほど、この疾患になりやすい傾向があります。特に、男性の方は、「喫煙」だけでも健常者より高い確率で狭心症になりやすいので、注意が必要です。

安静時の胸の痛み

上記とは対照的に、安静時に胸痛が出現する方もいます。
夜間、早朝など、血管が非常にけいれんしやすい時間帯に症状が起こります。これは、心臓の血管が一時的にけいれんして細くなる病態で、「冠攣縮性狭心症(かんれんしゅくせいきょうしんしょう)」と呼ばれます。
なかなかタイミング良く発作時に心電図をとって、確定診断はできないことが多いのですが、ニトログリセリンの舌下錠を常備してもらい、発作時に使用したうえで、その時の改善度で判断することもあります。
本物の「冠攣縮性狭心症」であれば、ニトログリセリンを使うと、5分以内にまさに「霧が晴れたように」症状が改善しますが、ほかの疾患ですとそういう反応はありません。

3. 歩行時の足の張りや痛み

糖尿病になって経過の長い方や、喫煙歴の長い方のなかに、歩いているとふくらはぎのあたりから張りや痛みを感じ、立ち止まって休憩すると治るという方がいらっしゃいます。

足の動脈にひどい動脈硬化が起こり、血流を妨げている「閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)」が考えられます。

動脈硬化の状態がわかる

整形外科領域の病気である「腰椎脊柱管狭窄症」と症状がよく似ているので、間違われることもしばしばですが、当院では「ABI測定機器」とよばれる検査機器で、足と腕の血圧の状態から動脈硬化の程度を分析し、診断をつけることができます。

さらには、血管エコーで動脈硬化の部位を見つけることができます。
血管エコー検査は検査時間がかかるため予約が必要ですが、「ABI測定器」による検査はすぐに実施可能ですので、初診の方でも当日に結果がわかります。血管年齢も同時測定しますので、ご自身の動脈硬化の状態が総合的に判断できます。

「年のせい」ではないかもしれない
「年のせい」ではないかもしれない

糖尿病や高血圧の治療を受けている人のなかには、足に症状があるにも関わらず、かかりつけのドクターに「それは年のせい」と言われてしまうケースがあります。

それで検査を受けていないために、正しい診断に至っていないという患者さまも多数いらっしゃいます。糖尿病と高血圧、そして喫煙率の長い方で、血管エコーと「ABI検査」を受けていなければ必要な検査だと思われます。

4. 足のむくみ

両足のむくみ

両足がずっとむくんでいる方の場合、心臓の血を送るポンプ機能が弱っている「深部静脈血栓症」が疑われます。

これは、心エコーで割と簡単に診断が可能です。採血して「BNP(ヒト脳性ナトリウムペプタイド)」と呼ばれる項目を測定し、心臓への負担を推測することもできます。
基礎に、「心臓弁膜症」「陳旧性心筋梗塞」「慢性心房細動」などの疾患が隠れていることがほとんどです。

片足のむくみ
片足のむくみ

心不全以外では「肺高血圧症」なども、まれではありますが考えられます。

片足の持続的なむくみの場合、「深部静脈血栓」という静脈の流れが血栓によりせき止められて、むくみを生じる疾患があります。これも血管エコーで診断がつきます。
また、片足がむくみ、特に夕方だけひどくなる方もいらっしゃいます。その多くは「静脈還流不全」と呼ばれる病態で、静脈エコーでも血栓などは見つかりません。

肥満によるむくみ
肥満によるむくみ

40歳以上の女性に多いのが、肥満による静脈不全です。これによってむくみを起こします。保険診療内では有効な治療はなく、弾力性ストッキングや西洋性ハーブを主成分とした「アンチスタックス」という薬が有効です。

特発生浮腫

検査をしても心臓や血管系の病気がない方もいます。これは「特発性浮腫」と呼びます。少量の利尿剤や「五苓散」という漢方薬の服用で対処します。

5. ふらつき・失神

迷走神経の過剰反応
迷走神経の過剰反応

突然の失神などは、「心室頻拍」「心室細動」などの重症な不整脈も考えられますが、頻度として多いのは「迷走神経血管反射性失神」です。
この原因は、自律神経のひとつである「迷走神経」が過剰に反応して脈が遅くなり、さらに血圧が低下して失神します。そのほかにも「完全房室ブロック」「洞不全症候群」など、非常に脈が遅くなる不整脈で、ふらつきや失神を起こす病気もあります。

典型的な症状がありながら、外来検査で診断がつかない場合は、大学病院などの不整脈科で「電気生理学的検査」を受け、カテーテルを使用した不整脈の誘発検査で診断を確定できます。

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